子どもに食べてほしい
安心・骨太な食べものを

健康な野菜やお米は、健康な土から作られます。腸内細菌と同じように、土の中にもいい微生物が沢山いることが大事だと思っています。微生物の餌は、ずばり、草です。2回作物を植えたら、1回は草を生やしてそれを土の中に混ぜ込んで微生物の餌としています。

元々自然が好きで自給自足への憧れからこの世界に入りました。栃木での研修先が少量多品目の有機農業だったので、その生き方に魅せられて、自然とそのまま就農を決めました。就農先を探していたところ、人からの紹介で南阿蘇の「ぽっこわぱ耕文舎」で短期の研修を受けました。景色が良く、実家の太宰府からも近かったので、家族の将来を考えて南阿蘇での就農を決めました。

「とまり木農園」というコンセプトで、ファームステイ受け入れをしています。自分が若い時そうしてもらったように、移住希望、農業体験、就農希望、土からの癒しなどの目的でいらっしゃる方に、何かのきっかけや気づき、成長やご縁つなぎの場を提供できればと。年間20人ほどの方が1週間～3か月くらいステイしていかれます。

自分自身は社交的な性格でもないので、さほど向いているとも思わないのですが、それはそれで面白い何かが生まれることも多いなと。

16年前の、まだ若々しかった就農当初の初心を忘れずに、農の世界、南阿蘇の土地と人々、神羅万象に感謝し、ささやかながら今の暮らしが続けられたらいいな、と思っています。

今はもう「自給自足」という理想はなくて、淡々と、自分と家族の居場所としての農家暮らしを大事にして、その延長で安心なおいしい食べ物をたくさんの人にお届けしたり、体験の場を提供させてもらったりして、「今日もどなたかのお役にたてた。いい仕事ができたな」と思える日々を送っていきたいです。